きつくないけど、ちゃんと、ストレッチできる方法 ~その2~
みなさん、こんにちは。
ヤジコヤデザインの矢島(代表)です。
ヤジコヤデザインではコーディングなどのデスクワークをしておりますが、実は理学療法士としてリハビリの仕事もやっております。
そんなリハビリ職の視点から、さまざまなカラダのお悩みに役立つ情報をお伝えしていきます。
今回の話題は「きつくないストレッチ」のその2。
きつくなきゃストレッチできないんじゃないの?って思う方もいると思います。
ストレッチのレベルは人それぞれ。
みんながみんな、基本とされるストレッチの方法ができるとは限りません。
その人に合ったストレッチの方法があるんです。
きっと「この方法が私には合うな」って方がいると思いますよ。
今回も前屈のストレッチだけど…
今回のストレッチのターゲットはふくらはぎ
今回も前屈のストレッチをやっていこうと思いますが、ターゲットは「ふくらはぎ」がメイン。
正確に言うと「下腿三頭筋」です。
前回のストレッチでは、ハムストリングスと下腿三頭筋がメインのターゲットでしたが、今回は下腿三頭筋により、焦点を当てていきます。
さて、この筋肉がどういったものかというと、下のイラストを見て思い出してみましょう。
この中の腓腹筋(内側頭と外側頭)とヒラメ筋を合わせて下腿三頭筋と呼びます。
つま先立ちをするときや歩くときや走るときに地面をけって体を押し出す動作をするときに働きます。
つまり、足首の上げ下げ(足関節の背屈・底屈)の”下げ”の部分の動作を行う筋肉です。
今回は、この筋肉に焦点を当ててストレッチしていきたいと思います。
今までのふくらはぎのストレッチ
今までのふくらはぎのストレッチは、”アキレス腱伸ばし”なんて言ってやっていたストレッチです。
よくやられているのが、皆さんご存じの下のようなストレッチの方法です。
これはこれで、下腿三頭筋をストレッチできます。
でも、「これって本当にふくらはぎが伸びてるかなあ」って時がないですか?
そんなときって実は膝が少し曲がってたりして、ヒラメ筋はストレッチできているけど、腓腹筋はストレッチできてない状態なんですよね ( ゚Д゚)
また、膝が曲がってなかったとしても、今回の方が効率よくストレッチできます。
あと、脚を伸ばした状態で座って、足先にタオルを引っ掛けて引っ張ることでふくらはぎを伸ばすっていうストレッチもありますよね。
あれもあれでストレッチできますが、腕が大変 (-_-;)
それで、今回はもう少し効率が良く、腕に負担もかからず、きつくない方法でやりたいと思います
(^▽^)/
きつくないストレッチ ~ふくらはぎ編~
実はストレッチのカタチは前回のハムストリングスのストレッチとほとんど同じなんです。
でも意識する場所や体重のかけ方が違ってくるので、しっかりと違いを理解してから実践をしてみてくださいね!
きつくないストレッチ ~ふくらはぎ編 Ver.1~
まずは、前回と同じ形です。
同じ形なのでもちろんハムストリングスもストレッチされます。
この後が少し違います。
脚の前方、足指の方にかかる体重を移動させます。
つまり、下の写真のようにカラダを前の方にすこ~し移動させてください。
すると少しずつふくらはぎがストレッチされるのが分かると思います。
この時、一気に前の方に体重を移動させてしまうと前に転びそうになるので、逆に力が入ってしまいます。
必ず、すこ~し、そして、ゆっく~り移動させてください。
きつくないストレッチ ~ふくらはぎ編 Ver.2~
続いてVer.2です。
これは、前回も紹介したコントラクトリラックスを利用するので、実は前回と同じチョイ足しです。
下の写真のように、目いっぱい“かかと上げ”をした状態を3~5秒間保持します。
壁に両方の手のひらをついて、できるだけ高いところまで届かせるように背伸びをすると、目いっぱい”かかと上げ”ができます。
これで、ふくらはぎがつっちゃう人は無理しないでくださいね (;´∀`)
これでしっかりと下腿三頭筋を収縮させた後に”ふくらはぎ編 Ver.1″を行ってください。
前回のハムストリングスのストレッチも併せて行うと、脚の後面がまんべんなくストレッチできますので、時間があるときはどちらもやってみてください (^^)/
コントラクトリラックスってなんだっけ?という方は前回の「きつくないけど、ちゃんと、ストレッチできる方法」を読んでみてください。
筋肉同士はつながっている
さあ、ここからはなぜ今回の方法が、普通のふくらはぎのストレッチよりも良いのかを説明していこうと思います。
これを知らなくても、きちんと前述したストレッチができていれば問題ないので、すっ飛ばして読み進めていっていただいても構いません (^.^)/~~~
筋肉を包んでつなぐ「筋膜」
筋膜は、全身の器官や部位を包んでいる膜です。
筋と名前についているので、筋肉だけを包んでいるように感じますが、筋肉だけでなくあらゆるものを全身くまなく包んでいます。
それは包んでいるだけでなく、連結もしています。
あらゆるものを全身くまなく包んでいるだけでなく、隣り合うもの全てで連結もしていることから「第2の骨格」とも言われています。
つまり、前回のストレッチの目的となったハムストリングスと今回の下腿三頭筋も別々の筋肉でありながら、筋膜によって連結しているということです。
ふくらはぎ編 Ver.1が効く理由
さて、今回の下腿三頭筋のストレッチが、一般的なストレッチと比べてよく効く理由です。
最初の方に出てきた下図のようなストレッチは、骨盤が起きています。
また、股関節は伸展(太ももが後方に動く方向)しています。
通常、骨盤が(太ももに対して)前方に倒れるような形にならないとハムストリングスはすとれってされません。
上図のように骨盤が起きているとハムストリングスは逆に緩むような形になっていしまいます。
すると、下腿三頭筋はかかと側からのみ引っ張られてストレッチが行われます。
しかし、下の写真のように体の前屈も入れて下腿三頭筋をストレッチすると、ハムストリングス側からも引っ張られて、上下両側からストレッチをかけることが出来るのです。
脚を伸ばした状態で座って、足先にタオルを引っ掛けて引っ張ることでふくらはぎを伸ばすっていうストレッチ方法でも同じ効果が考えられますが、腕の力ではなく、体重を使ってストレッチできる今回の方法の方が効率的です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
前回のストレッチと似てはいますが、意識する場所が違えば、違うストレッチとなります。
しかも、カラダの硬い人向けですので、きつくもなく継続してできると思います。
まとめ
今回は、下腿三頭筋をメインとしたストレッチを紹介しました。
前回のストレッチの流れから行える方法なので、手軽に継続してやっていけるのではないでしょうか。
筋肉をリラックスする方法は、きつくストレッチをかけ過ぎないこと、コントラクトリラックスなどの性質を利用することがあります。
そこに加えて、効率よくストレッチするのに筋膜の特性を理解したストレッチを行うことがこの記事でお伝えしたことです。
日々、ゆる~く体のメンテナンスを行っていきましょう(^.^)/~~~
参考文献
勝又泰貴:筋再教育運動が筋膜リリース後の筋膜の伸張性および筋力に与える影響 理学療法科学 31(1):99-106,2016
竹井仁:姿勢の評価と治療アプローチ 脊髄外科 Vol.27 No.2 2013年8月
きつくないけど、ちゃんと、ストレッチできる方法
みなさん、こんにちは。
ヤジコヤデザインの矢島(代表)です。
ヤジコヤデザインではコーディングなどのデスクワークをしておりますが、実は理学療法士としてリハビリの仕事もやっております。
そんなリハビリ職の視点から、さまざまなカラダのお悩みに役立つ情報をお伝えしていきます。
今回の話題は「ストレッチ」!
やらなきゃいつまでもカラダは硬いし、ケガもしやすい。
それはわかっちゃいるんだけど、カラダが硬い人にとってはちょっとした拷問なのが「ストレッチ」。
そんな「ストレッチ」をきつくなくできる方法を紹介したいと思います。
よくあるストレッチの失敗
私たちカラダが硬い人間が良く経験すること
腰痛なんかをきっかけに「やっぱりカラダのメンテナンスが必要だな」ってことになることはよくあります。
そんな時にまず始めるのがストレッチ。
そしてGoogle先生やSNSで調べてみるといろんなサイトやYouTubeチャンネルが見つかりますね。
よくあるのが、“1日○○分で柔らかくなる”みたいなやつ。
「お、これなら手軽だしいいな」と思ってクリック。
そして、やってみる。
「なんか画面の人のようにはいかない…」とか「イテテテテー!」とかないですか?
そう!あなたは硬いんです!
画面に出てくるプロの方たちの姿は最終形。
「無理のないようにやってみてください」とか「痛みのある人はゆっくり」とかありますが、それだと全然カタチが違って、意味がないような気がしてきますね。
でも大丈夫、硬い人向けのストレッチがあります☺
確かにしっかりとストレッチをしたい筋肉に対して、正しくストレッチをかけていくことは大切です。
しかし、痛みや苦しさで力が抜けなくては意味がありません。
また、「無理のないようにやってみてください」と言われるがままに無理のないようになって、自分流のやり方になって、意味もないようなカタチになっても悲しいですね。
でも大丈夫👍
硬い人向けのストレッチを紹介していきます。
ストレッチの意味を理解して、それこそ無理がなくやる方法があるんです。
いつものようにその中身を理解をすれば、正しい自分流を見つけることだってできるでしょう。
きつくないストレッチ
では、難しいことは後にして、まずはストレッチのやり方を紹介します。
どのストレッチ方法も、すでにカラダが柔らかい方にとっては物足りないかもしれません。
今回紹介するのは、カラダが硬い人がつらいストレッチの代表格。
「前屈(立位)」です!
きつくないストレッチ ~前屈 Ver.1~
ただ普通に前屈するときついですよね。
でもカラダが柔らかい人は楽に力が抜けていますよね。
この差は何でしょう?(もちろん、カラダの柔らかさ以外で)
もちろん、いろんな差がありますが、大切なのは手が床に着いているかいないかです。
硬い人は手が床につかないので、上半身の重みの負荷をいつまでも受けています。
手が着けば、上半身を支えられて楽なのに…
だったら手を着くところを上げてしまえば良いんです。
ということで、自分の目のまえに踏み台を置いてみます。
すると、何ということでしょう!
前屈の苦痛がほとんどなーい!
力が抜きやすくなりますね。
そのうえで、少しずつ体を折り曲げていけばいいんです。
簡単でしょ?
もちろん息を吐きながらやってくださいね。
ストレッチで大切なのは、力が抜ける環境をつくることです。
伸ばすことが最終的な目的ですが、まずは力が抜けることが前提なんです。
その理由は「ストレッチには脱力が必要」に書いてありますので、気になる方は先にそっちを読んでみてください。
(そのまま読み続けてもその部分の記事に達しますので、理由はわかりますよ)
続いて…
きつくないストレッチ ~前屈 Ver.2~
ここからはちょっとしたストレッチのテクニックをつけ足していきます。
カラダの硬い・柔らかいは関係なくやることができますので、ぜひ試してみてください。
最終的には先ほどの「きつくないストレッチ ~前屈 Ver.1~」をやるんですが、その前にひと手間加えます。
これも簡単です。
目いっぱい“かかと上げ”をした状態を3~5秒間保持します。
壁に両方の手のひらをついて、できるだけ高いところまで届かせるように背伸びをすると、目いっぱい”かかと上げ”ができます。
これをやって、足がつっちゃう人はちょっと時間をおいてからやりましょう。
そのあとすぐにVer.1のストレッチを行います。
さっきよりもスムーズな感じがしませんか?
なぜそうなるのかを先に知りたい人は「コントラクトリラックスと相反抑制」を先に読んでみてください。
きつくないストレッチ ~前屈 Ver.3~
今度もVer.1との組み合わせ。
このVer.3では一回背中をそらせます。
まずは、ヨガでいう“マウンテンのポーズ”をします。
両手を合わせて、天井に向かって伸ばします。
この時、息を吸いながら伸ばすと気持ちがいいです。
そして、お尻に力を入れながら、腰を少し前に押し出しながら体を後ろに反らせます。
もし、この状態で体を反らせるのが大変な人は、腰に手を当てて反らせてみましょう。
この時もお尻に力を入れているのが大切ですよ。
これを3~5秒間保持します。
そのあとVer.1の前屈を行います。
なんか気持ちよくないですか?
これもなぜそうなるのかを先に知りたい人は「コントラクトリラックスと相反抑制」を先に読んでみてください。
きつくないストレッチ ~前屈 Ver.4~
さぁ、いよいよ最後の付け足しです。
ほんとに最後の部分につけ足しますので、Ver.1でもVer.2でもVer.3でも、どれにでもつけ足してください。
これも簡単☺
前屈したときに膝を伸ばすようにギュッと太ももに力を入れるだけ。
ほんのちょっと床に近づきますよ。
なぜそうなるのかを先に知りたい方は「コントラクトリラックスと相反抑制」を先に読んでみてください。
なぜ硬くてもストレッチが効果的に?
ストレッチには脱力が必要
人はツラかったり、痛かったりすると筋肉に力が入ります。
防衛的に自然に力が入ってしまうんですね。
それを意識的に抜くなんて厳しいですよね。
でもストレッチって力が抜けているからできるんです。
力が入っていると筋肉は縮む方に動きます。
もしくは長さを変えないように耐えてしまいます。
ストレッチで筋肉を伸ばそうとしているのに逆効果ですね。
でも正しいフォームでやらないと効果がないなんて言われたりしますよね。
それはそうですが、痛かったり、ツラかったりして力が抜けなくては本末転倒!
そこで大切なのが、筋肉の構造を理解しつつ、ストレッチの強度を下げることです。
今回のストレッチが狙っている筋肉
今回のストレッチで狙っている筋肉はメインが2つ、サブが2つです。
メインは、ハムストリングスと下腿三頭筋。
サブは、大殿筋と脊柱起立筋。
逆に言うと、前屈運動(立位)を邪魔しているのが、メインでハムストリングスと下腿三頭筋、サブで大殿筋と脊柱起立筋というわけです。
その中でも、ツラさのメインとなっているのは、ハムストリングスです。
ハムストリングスがどこにあるかと言いますと、
お尻のところにある座骨から膝の裏までくっついています。
なので、前屈時のように骨盤が前に倒れていくと、座骨がハムストリングスを上に引っ張っていってストレッチできるわけです。
この時に体を前屈させるのが上半身の重さなので、前に踏み台を置いて自分の手でその重さを軽くして、前屈具合を調整します。
それで、しっかりと力が抜けて、前屈ストレッチがちょうどよい負荷で行うことができるのです。
コントラクトリラックスと相反抑制
続いて、ストレッチの効果を上げるちょっとしてテクニックを紹介します。
まずはコントラクトリラックス。
これは最大収縮後の筋肉の活動が抑制される性質を利用しています。
つまり、最大収縮後の筋肉はリラックスができるという性質です。
これを利用したのが、「きつくないストレッチ~前屈 Ver.2~」と「きつくないストレッチ~前屈 Ver.3~」です。
Ver.2では下腿三頭筋、Ver.3ではハムストリングスと大殿筋、脊柱起立筋のこの効果を狙っています。
ちなみに下腿三頭筋と大殿筋、脊柱起立筋の場所は、
つまり、裏側の筋肉をリラックスさせるためのちょっとしたテクニックということです。
続いて、相反抑制についてです。
上の図を見てもらうとハムストリングスの反対側(前側)には大腿四頭筋があることが分かります。
これらの反対の作用を持っていて、ハムストリングスは膝を曲げる作用、大腿四頭筋は膝を伸ばす作用を持っています。
相反抑制とは、このように反対の作用を持っている筋肉同士で働く抑制作用です。
例えば、大腿四頭筋が収縮するときにはハムストリングスの収縮は抑制され脱力をするといったことです。
そりゃそうですね。
膝を伸ばしたいときに、膝を曲げる筋肉には脱力をしてもらわないと困りますからね。
そこで、「きつくないストレッチ~前屈 Ver.4~」では、膝を伸ばす筋肉の大腿四頭筋に力を入れて、ハムストリングスの脱力を得ているというわけです。
必要と言われる時間
それではストレッチに必要な時間はどれくらいでしょう。
一般的に小さな筋肉なら10秒以上、大きな筋肉なら20~30秒と言われています。
また、コントラクトリラックスの効果を出すには10~20秒が必要とされています。
その辺を意識して、10秒以上は最低でも必要で、できれば20秒くらい我慢できればいいと考えてもよさそうです。
まとめ
まとめ
さて、いかかでしたか?
きつくないストレッチ、続けられそうですね。
今までのきついストレッチは逆効果とまではいかなくても、良い効果を得にくかったと思います(続かないので)。
今回のストレッチで狙った筋肉はハムストリングスですが、その筋肉を脱力すること、コントラクトリラックスや相反抑制をうまく利用すること、その効果を引き出せる時間は行うことなどをお伝えしました。
今後は、ハムストリングス以外の筋肉のストレッチも徐々に紹介できればと思っております。
また、自分のカラダの硬さレベルを知りたい方は下記のリンクを参照してみてください。
「「体が硬い」と言う人は絶対やってみて!あなたの「硬さレベル」は思っていたより軽度? 重度? 本当の体の状態を調べてみよう」
最後まで、どうもありがとうございました。
参考文献:
柳沢 健:DVDで学ぶ 理学療法特殊テクニック,南江堂,2007