ヤジコヤデザイン|安曇野市・松本市を中心に活動する個人デザイン事務所

リハビリ専門職がお伝えする身体づくりのお役立ちブログ

きつくないけど、ちゃんと、ストレッチできる方法

みなさん、こんにちは。
ヤジコヤデザインの矢島(代表)です。
ヤジコヤデザインではコーディングなどのデスクワークをしておりますが、実は理学療法士としてリハビリの仕事もやっております。
そんなリハビリ職の視点から、さまざまなカラダのお悩みに役立つ情報をお伝えしていきます。

今回の話題は「ストレッチ」!
やらなきゃいつまでもカラダは硬いし、ケガもしやすい。
それはわかっちゃいるんだけど、カラダが硬い人にとってはちょっとした拷問なのが「ストレッチ」。
そんな「ストレッチ」をきつくなくできる方法を紹介したいと思います。

よくあるストレッチの失敗

私たちカラダが硬い人間が良く経験すること

腰痛なんかをきっかけに「やっぱりカラダのメンテナンスが必要だな」ってことになることはよくあります。
そんな時にまず始めるのがストレッチ。

そしてGoogle先生やSNSで調べてみるといろんなサイトやYouTubeチャンネルが見つかりますね。
よくあるのが、“1日○○分で柔らかくなる”みたいなやつ。

「お、これなら手軽だしいいな」と思ってクリック。
そして、やってみる。

「なんか画面の人のようにはいかない…」とか「イテテテテー!」とかないですか?

そう!あなたは硬いんです!
画面に出てくるプロの方たちの姿は最終形。

「無理のないようにやってみてください」とか「痛みのある人はゆっくり」とかありますが、それだと全然カタチが違って、意味がないような気がしてきますね。

でも大丈夫、硬い人向けのストレッチがあります☺

確かにしっかりとストレッチをしたい筋肉に対して、正しくストレッチをかけていくことは大切です。
しかし、痛みや苦しさで力が抜けなくては意味がありません。
また、「無理のないようにやってみてください」と言われるがままに無理のないようになって、自分流のやり方になって、意味もないようなカタチになっても悲しいですね。

でも大丈夫👍
硬い人向けのストレッチを紹介していきます。

ストレッチの意味を理解して、それこそ無理がなくやる方法があるんです。
いつものようにその中身を理解をすれば、正しい自分流を見つけることだってできるでしょう。

きつくないストレッチ

では、難しいことは後にして、まずはストレッチのやり方を紹介します。
どのストレッチ方法も、すでにカラダが柔らかい方にとっては物足りないかもしれません。

今回紹介するのは、カラダが硬い人がつらいストレッチの代表格。
「前屈(立位)」です!

きつくないストレッチ ~前屈 Ver.1~

ただ普通に前屈するときついですよね。
でもカラダが柔らかい人は楽に力が抜けていますよね。

この差は何でしょう?(もちろん、カラダの柔らかさ以外で)

手を着いた前屈
手の付かない前屈

もちろん、いろんな差がありますが、大切なのは手が床に着いているかいないかです。
硬い人は手が床につかないので、上半身の重みの負荷をいつまでも受けています。
手が着けば、上半身を支えられて楽なのに…

だったら手を着くところを上げてしまえば良いんです。
ということで、自分の目のまえに踏み台を置いてみます。

台あり前屈

すると、何ということでしょう!
前屈の苦痛がほとんどなーい!
力が抜きやすくなりますね。

そのうえで、少しずつ体を折り曲げていけばいいんです。
簡単でしょ?
もちろん息を吐きながらやってくださいね。
ストレッチで大切なのは、力が抜ける環境をつくることです。

伸ばすことが最終的な目的ですが、まずは力が抜けることが前提なんです。
その理由は「ストレッチには脱力が必要」に書いてありますので、気になる方は先にそっちを読んでみてください。
(そのまま読み続けてもその部分の記事に達しますので、理由はわかりますよ)
続いて…

きつくないストレッチ ~前屈 Ver.2~

ここからはちょっとしたストレッチのテクニックをつけ足していきます。
カラダの硬い・柔らかいは関係なくやることができますので、ぜひ試してみてください。

最終的には先ほどの「きつくないストレッチ ~前屈 Ver.1~」をやるんですが、その前にひと手間加えます。

これも簡単です。
目いっぱい“かかと上げ”をした状態を3~5秒間保持します。
壁に両方の手のひらをついて、できるだけ高いところまで届かせるように背伸びをすると、目いっぱい”かかと上げ”ができます。
これをやって、足がつっちゃう人はちょっと時間をおいてからやりましょう。

踵上げ

そのあとすぐにVer.1のストレッチを行います。
さっきよりもスムーズな感じがしませんか?

なぜそうなるのかを先に知りたい人は「コントラクトリラックスと相反抑制」を先に読んでみてください。

きつくないストレッチ ~前屈 Ver.3~

今度もVer.1との組み合わせ。
このVer.3では一回背中をそらせます。

まずは、ヨガでいう“マウンテンのポーズ”をします。
両手を合わせて、天井に向かって伸ばします。
この時、息を吸いながら伸ばすと気持ちがいいです。

マウンテンのポーズ

そして、お尻に力を入れながら、腰を少し前に押し出しながら体を後ろに反らせます。
もし、この状態で体を反らせるのが大変な人は、腰に手を当てて反らせてみましょう。
この時もお尻に力を入れているのが大切ですよ。
これを3~5秒間保持します。

カラダを反らせる

そのあとVer.1の前屈を行います。

なんか気持ちよくないですか?

これもなぜそうなるのかを先に知りたい人は「コントラクトリラックスと相反抑制」を先に読んでみてください。

きつくないストレッチ ~前屈 Ver.4~

さぁ、いよいよ最後の付け足しです。
ほんとに最後の部分につけ足しますので、Ver.1でもVer.2でもVer.3でも、どれにでもつけ足してください。

これも簡単☺

前屈したときに膝を伸ばすようにギュッと太ももに力を入れるだけ。
ほんのちょっと床に近づきますよ。

膝に力を入れた前屈

なぜそうなるのかを先に知りたい方は「コントラクトリラックスと相反抑制」を先に読んでみてください。

なぜ硬くてもストレッチが効果的に?

ストレッチには脱力が必要

人はツラかったり、痛かったりすると筋肉に力が入ります。
防衛的に自然に力が入ってしまうんですね。
それを意識的に抜くなんて厳しいですよね。

でもストレッチって力が抜けているからできるんです。
力が入っていると筋肉は縮む方に動きます。
もしくは長さを変えないように耐えてしまいます。

ストレッチで筋肉を伸ばそうとしているのに逆効果ですね。

でも正しいフォームでやらないと効果がないなんて言われたりしますよね。
それはそうですが、痛かったり、ツラかったりして力が抜けなくては本末転倒!

そこで大切なのが、筋肉の構造を理解しつつ、ストレッチの強度を下げることです。

今回のストレッチが狙っている筋肉

今回のストレッチで狙っている筋肉はメインが2つ、サブが2つです。
メインは、ハムストリングスと下腿三頭筋。
サブは、大殿筋と脊柱起立筋。

逆に言うと、前屈運動(立位)を邪魔しているのが、メインでハムストリングスと下腿三頭筋、サブで大殿筋と脊柱起立筋というわけです。
その中でも、ツラさのメインとなっているのは、ハムストリングスです。

ハムストリングスがどこにあるかと言いますと、

ハムストリングスの解剖
ハムストリングスを後ろから見た図

お尻のところにある座骨から膝の裏までくっついています。
なので、前屈時のように骨盤が前に倒れていくと、座骨がハムストリングスを上に引っ張っていってストレッチできるわけです。

この時に体を前屈させるのが上半身の重さなので、前に踏み台を置いて自分の手でその重さを軽くして、前屈具合を調整します。

それで、しっかりと力が抜けて、前屈ストレッチがちょうどよい負荷で行うことができるのです。

コントラクトリラックスと相反抑制

続いて、ストレッチの効果を上げるちょっとしてテクニックを紹介します。
まずはコントラクトリラックス。
これは最大収縮後の筋肉の活動が抑制される性質を利用しています。
つまり、最大収縮後の筋肉はリラックスができるという性質です。

これを利用したのが、「きつくないストレッチ~前屈 Ver.2~」「きつくないストレッチ~前屈 Ver.3~」す。

Ver.2では下腿三頭筋、Ver.3ではハムストリングスと大殿筋、脊柱起立筋のこの効果を狙っています。

ちなみに下腿三頭筋と大殿筋、脊柱起立筋の場所は、

つまり、裏側の筋肉をリラックスさせるためのちょっとしたテクニックということです。

続いて、相反抑制についてです。

上の図を見てもらうとハムストリングスの反対側(前側)には大腿四頭筋があることが分かります。
これらの反対の作用を持っていて、ハムストリングスは膝を曲げる作用、大腿四頭筋は膝を伸ばす作用を持っています。

相反抑制とは、このように反対の作用を持っている筋肉同士で働く抑制作用です。
例えば、大腿四頭筋が収縮するときにはハムストリングスの収縮は抑制され脱力をするといったことです。

そりゃそうですね。
膝を伸ばしたいときに、膝を曲げる筋肉には脱力をしてもらわないと困りますからね。

そこで、「きつくないストレッチ~前屈 Ver.4~」では、膝を伸ばす筋肉の大腿四頭筋に力を入れて、ハムストリングスの脱力を得ているというわけです。

必要と言われる時間

それではストレッチに必要な時間はどれくらいでしょう。

一般的に小さな筋肉なら10秒以上、大きな筋肉なら20~30秒と言われています。
また、コントラクトリラックスの効果を出すには10~20秒が必要とされています。

その辺を意識して、10秒以上は最低でも必要で、できれば20秒くらい我慢できればいいと考えてもよさそうです。

まとめ

まとめ

さて、いかかでしたか?

きつくないストレッチ、続けられそうですね。
今までのきついストレッチは逆効果とまではいかなくても、良い効果を得にくかったと思います(続かないので)。

今回のストレッチで狙った筋肉はハムストリングスですが、その筋肉を脱力すること、コントラクトリラックスや相反抑制をうまく利用すること、その効果を引き出せる時間は行うことなどをお伝えしました。
今後は、ハムストリングス以外の筋肉のストレッチも徐々に紹介できればと思っております。

また、自分のカラダの硬さレベルを知りたい方は下記のリンクを参照してみてください。
「「体が硬い」と言う人は絶対やってみて!あなたの「硬さレベル」は思っていたより軽度? 重度? 本当の体の状態を調べてみよう」

最後まで、どうもありがとうございました。

参考文献:

柳沢 健:DVDで学ぶ 理学療法特殊テクニック,南江堂,2007