ヤジコヤデザイン|安曇野市・松本市を中心に活動する個人デザイン事務所

リハビリ専門職がお伝えする身体づくりのお役立ちブログ

腰痛改善はじめの一歩
~快適な椅子生活を手に入れるために~

みなさん、こんにちは。
ヤジコヤデザインの矢島(夫)です。
ヤジコヤデザインではコーディングなどのデスクワークをしておりますが、実は理学療法士としてリハビリの仕事もやっております。
そんなリハビリ職の視点から、様々な身体のお悩みに役立つ情報をお伝えしていきます。

今回のテーマは、多くの方が悩んでいる腰痛。
みなさんは、リモートや外出自粛で座っている時間が長くなったんじゃないでしょうか。
そんな時の身体のお悩みの一つが腰痛ですよね。
今回はこの腰痛を改善するためのヒントを紹介していこうと思います。
また、こんな人は早く病院に行った方がいいですよ、という症状も紹介していこうと思います。

そもそも座っている時間が長いとなぜ腰が痛くなるの?

そもそも腰ってどこのこと?

まずは、腰痛っていうからには腰の場所を知る必要があります。
それを知ることで、どこに原因があるのかを理解することができるんですよね。

さあ、それでは人の骨を後ろから見てみましょう。

背面からの人体の骨
人の骨を後ろから見たところ

この図でも腰ってあのへんだよねって言えますが、もうちょっとはっきりさせましょう。
そこで、背骨だけを取り出してみます。そして、見やすくするために横から見てみましょう。

側面からの脊柱
背骨だけを横から見たところ

背骨は、正しくは脊柱(せきちゅう)といいます。
脊柱は上の図のように頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)で構成されます。
仙骨・尾骨は、仙椎・尾椎とも呼ばれ、骨盤の中にあります。

頸椎は7つ、胸椎は12個、腰椎は5つで構成されていて、字のとおり主に腰と呼ばれる範囲は腰椎のあたりです。
骨でいうところの腰はこの辺です。

では、今度は筋肉などの柔らかい組織で考えてみましょう。
背中の皮膚をぺろーんと剝がしてみると、初めのほうに出てくるのが下の図にある広背筋と腰背腱膜。

広背筋と腰背腱膜
後ろから見て初めに出てくる背中から腰の筋肉

ここで、腰って言われるのは腰背腱膜のあたり。
もっと体の内部に入っていくと脊柱起立筋と呼ばれる脊柱に沿って走っている筋肉たちがあります。
ざっくり腰回りの筋肉などを紹介するとこんな感じです。

座っていることは楽なのに実は腰には負担になっている

それでは、なぜ座っているのに腰に負担がかかるのでしょうか。
まずは背骨にかかる負担について説明しましょう。

ベッドで横になっている状態、立っている状態、座っている状態の3つを比較すると、実は一番腰の骨に負担をかけているのは座っている状態なんです。
「え!立っている状態の方が負担じゃないの?」って思っちゃいますが、こんなデータがあります。

椎間板内圧
椎間板にかかる圧力

正しくは、骨にかかる負担ではなく、椎間板へかかる圧力を立位(立った状態)での圧力を100%として示したデータになります。
椎間板は、背骨と背骨の間にあるクッションのような役割を持つ組織です。
座った状態は、立った状態の40%も負担(圧力)が大きいんですね。
座って荷物を持つなんて最悪ですね。

では、どのような状態になるから負担になるのでしょうか。下の図を見てください。

腰椎
腰椎がカーブを描いている

よく、背骨はS字の状態が理想的な姿勢だって言われます。
そのとき、腰椎は前方に沿ったようなカーブを描いています。
この時、椎間板はもともとの形のままなので、かたよった圧などが加わらず、負担はありません。

座位で腰椎前腕減少
腰椎のカーブが失われている

しかし、上の図のように座ってしまうと腰椎のカーブが失われ、前側の椎間板に押しつぶすような圧が加わってしまいます。
また、後ろ側には引き延ばすようなストレスがかかってしまいます。
そんな負担が腰にはかかってしまいます。

じゃあ筋肉などにはどんな負担があるのでしょう。
簡単に言うと疲れと凝りです。
「ただ座っているだけなのに」と思うでしょう。

筋肉は、持続的に力が入っているとその部分が疲労します。
そりゃあたりまえですね。
つまり、いい姿勢で座っていようと腰の部分の筋肉が長時間頑張っていると疲労します。
じゃあ背中を丸めて座って、力を使わずにしていればいいのかというと、その状態だと腰の筋肉や腱膜はずっと引き延ばされた状態で、循環が悪くなり、凝りの原因となってしまいます。

こんな感じで、骨や椎間板、筋肉などへの負担が蓄積し、腰痛へと導かれてしまうのです。

ここで気を付けなければけないのが、しびれや強烈な痛みです。
これらの症状がある場合は脊柱に異常がある可能性が考えられますので、できるだけ病院に行きましょう。
椎間板ヘルニア、腰椎脊柱管狭窄症、腰椎すべり症など、腰椎やその周辺組織に問題があると、重度な場合は手術なんて話も出てきます。

もし、その辺の問題がなかったら、また改めてこの記事に戻ってきてくださいね。

腰の負担を軽くする仕組み

さぁ、ここからいよいよ改善へ向けての話です。

どうやって腰痛を改善していくか。
それは、今まで説明させてもらった負担を軽くすれば、腰痛を軽くできるという方法です。
負担を軽くするので、予防にも役立ちます。

まずは、負担を軽くする仕組みについて知っていきましょう。

座っていると腰椎の部分のカーブが失われて腰椎への負担がかかってしまうことは説明しましたね。
なので、そのカーブを保っていれば、腰椎への負担は減るわけです。  

筋肉に関しては、腰の筋肉の頑張りを減らしてあげることと持続して背中を丸くして座らない事で負担は減らせます

どの負担も腰椎のカーブを保っていれば軽減できそうですね。
しかし、カーブを保つために腰の筋肉が頑張ってはしょうがないので、それを助けるものが必要ですね。

そこでまずは腰椎のカーブを保ってくれるクッションやイスを使用する事です。
座っているだけでその姿勢を保ってくれるので、楽ですね。
どんなクッションやイスがいいのかは、また機会を作って紹介します。

さて、ここでメインでお教えしたいのは、腰の筋肉の助けになってくれる筋肉についてです。
私は理学療法士もやっているので、体で解決する方法をお伝えしたいと思います。

では、どの筋肉が助けになってくれるのかというと、インナーマッスルと言われる筋肉です。
その中でも、今日具体的に取り上げるのは、腹横筋です。

あまり聞いたことのない筋肉だとは思いますが、簡単に働かす事はできます。
「このズボンのボタン止まるかなぁ」って時にお腹を凹ますと思いますが、その時にお腹を凹ませてウエストを絞るときにメインとなっている筋肉が腹横筋です。
腰にある腰背腱膜と繋がって、おなか周りをぐるっと覆っている筋肉です。

腹横筋
おなか周りを覆っている腹横筋

この筋肉が腰の筋肉の助けとなる仕組みを理解するには腹腔というものの存在を知る必要があります。
腹腔は下の図のように肋骨の下から骨盤にある空間で、いろんな臓器が入っています。
この腹腔がバルーンのような役割をして、上半身部分が倒れてくるのを防ぎます。
つまり、腰が曲がるのを防ぎます。
しっかりと腹腔が上半身を支えて腰椎のカーブを保っています。

腹腔の支えとしての役割
腹腔が上半身を支えている
腹腔内圧減少
上半身を支えられないポッコリおなか

でも、この腹腔は水風船のようなバルーンなので、重力によってポッコリお腹のように歪んでしまい上半身を支えてくれません。
そこで、この腹腔の形を保つように周りから支えてくれるのが腹横筋(薄いオレンジ色の部分)です。

これで上半身が落ちてこないように支えられるので、腰の筋肉を助けることができます。

腰痛改善!体幹トレーニング

トレーニングといってもまずは柔軟性(ストレッチ)が必要

じゃあ筋トレを始めましょうっていうのはよくありません。
まずは、しっかりと筋肉が強化されるよう整える必要があります。
その方法がストレッチです。
ストレッチによって、筋肉が柔らかくなると循環が良くなるので、疲労からの回復も良くなるし、筋肉の強化の効率も良くなります。

アップドッグ
アップドッグ

上の絵のように、うつぶせになって両手で上半身を起こします。
状態をできるだけそらし、足の甲は床に押し付けます。
しっかりと両腕を使って上半身を持ち上げましょう。
これで身体の前側をストレッチできます。
呼吸は止めずに、20秒程度がんばってみましょう。

キャットカウ背中を丸める
キャットカウ(背中を丸める)
キャットカウ背中をそらす
キャットカウ(背中を反らす)

四つ這いになって、息を吐きながら頭を下げて背中を丸めます。
その際、おなかを引き込みながら行いましょう。
次に息を吐きながら、頭を上げて背中をそらせます(見本は全然それてませんが)。
これをゆっくりと20回程度やってみましょう。

体幹回旋ストレッチ
体幹回旋ストレッチ

仰向けになって両腕を広げます。
右脚を曲げて左へと持っていき腰を左へひねります。
それと同時に視線は右に向けます。
この形で呼吸を止めないようにして20秒ほどがんばって、終わったら反対側も行います。

横になるスペースがない、手が痛くてこれはできないなんて方は
「仕事の合間に腰痛予防」
のところで紹介した運動を参考にして下さい。

インナーマッスルトレーニング(腹横筋)で体幹の基礎をつくる

次に腹横筋をトレーニングしていきましょう。

仰向けドローイン
仰向けでのドローイン

仰向けに寝て、両膝を立てましょう。
ゆっくりと息を吐きながらおなかを凹ませます。
凹ませたおなかをキープしたまま、できるだけ大きく呼吸を10回ほど行います。
息を吸っているときにおなかが緩んで膨らまないように気を付けましょう。
これを2~3セットやりましょう。

ハイプランク
ハイプランク

次は少しきつくなります。
両手をついて、両足を延ばして、両手と両足先だけで、体を支えます。
もし無理だなって方は、膝をついてもかまいません。
この状態で30秒キープします。
これを2回~3回行います。
慣れてきた10秒ずつ増やしていき、60秒くらいがんばってみましょう。

プランク
プランク

さらにきつくなります。
今度は、両前腕と両足先で身体を支えます。
まずは、この状態で30秒キープします。
無理な方は、膝をついてやりましょう。
さっきの運動と同じようになれてきたら10秒ずつ増やしてみてください。

プランクソウ前へ
プランクソウ前へ
プランクソウ後ろへ
プランクソウ後ろへ

さっきの運動ができるようになったら、この運動に挑戦してみて下さい。
さっきの運動のように前腕と両足先で身体を支えます。
その後できるだけ身体全体を前に押し出し、そして後ろに押し返します。
これを20往復ほど行います。
10秒程度の休憩を挟みながら2~3回やってみましょう。

仕事の合間に腰痛予防

 ここで、仕事の合間にできるトレーニングも紹介します。
仕事の合間とは言っても、やっぱり座りっぱなしはよくないので、その場に立ってできるものにしましょう。

マウンテンのポーズ
マウンテンのポーズ
肩と胸のストレッチ
肩と胸のストレッチ
肩と僧帽筋ストレッチ
肩と僧帽筋ストレッチ

両足をそろえて立ちます。
両手を合わせて、真上に肘がしっかりと伸びるまで伸ばします。
その際、視線は少し上に向けましょう。
そのあと、両腕を開いて肘を曲げた状態で両方の指先は天井に向けておきます。
両前腕を正面で合わせて背中を丸めます。
背中を丸めると同時に、おなかを引き込みましょう。

椅子での体幹回旋ストレッチ
椅子での体幹回旋ストレッチ

右脚を上にして脚を組みます。
左手を右ひざの外側に当てて、ゆっくりと息を吐きながら体を右側にねじります。
息を吐ききったら身体を元に戻し、反対側を行います。

立位でのドローイン
立位でのドローイン

両足をそろえた状態で立ちます。
両手をおなかに当てて、息を吐きながらおなかを凹ませます。
凹ませたおなかをキープしたまま、できるだけ大きく呼吸を10回ほど行います。
息を吸っているときにおなかが緩んで膨らまないように気を付けましょう。

そうはいってもグッズに頼りたい!

腹横筋は自前のコルセット

先ほどこんな絵で、腹腔が上半身を支える仕組みの紹介をしましたね。

腹横筋は自前のコルセット
腹横筋は自前のコルセット

薄いオレンジ色の帯が腹横筋にあたり、腹腔の形をキープするのに役立っています。
何かに似てませんか?
コルセットに似てますね。
そうなんです。コルセットの役割を果たすのです。
つまり、腹横筋の弱い方はコルセットに頼ってしまうのも一つの手段です。
特にまだまだ痛みの続いている方や腰痛持ちでそろそろ痛みが出そうだなって時はコルセットを使ってみましょう。
でも、どんなコルセットを選んだ方がいいのかわからないこともありますね。
そこでおすすめのコルセットを紹介しますので、参考にしてみてください。

コルセットの紹介
~腰椎コシビシベルト~

今回紹介したいのが、【腰椎コシビシベルト】

このコルセットの特徴は、何と言っても後ろにあるワイヤーです。
このワイヤーを引っ張ることによって、マジックテープで前を止めるだけでは得られないフィット感を得られます。
しかも、片手でワイヤを引っ張ってフィットさせることができて、簡単!
また、三次元立体製法で織られており蒸れにくい構造にもなっています。

しっかりとフィットしてさせてくれるので、腰痛が長引いている方や、繰り返している方、痛みの強め方にお勧めです。

多くの方が悩んでいる腰痛対策に!ベルトを巻いてワイヤーを引っ張るだけで絞められる簡単サポーター!!【腰椎コシビシベルト】

まとめ

今回の記事では、腰痛のの原因からお伝えして、腰痛改善に向けたトレーニングと腰痛改善に役立つコルセットの紹介をさせていただきました。
腰痛はしっかりと原因を知ってそれにアプローチすることで、うまく対処できる痛みです。
最終的には、腰痛に強い身体をつくることが大事です。
無理をせずに、少しずつ身体づくりをしていきましょう。